葉っぱの巻物

もうちょっといいブログ名ないかな

ペン回しの構成について

 今が全盛かもしれないので構成を組むときに意識していることについて書き留めておきます。前提(あるいは予防線)として言いますが、僕自身は構成に凝るタイプでは全くなく、大体のテンプレートを決めてそれに沿って勘で組み上げて作っています。そのテンプレートについて話します。

 

テンプレートで構成を組もう!理屈編

1).テンプレート概要 - これだけやればとりあえずFSになるよ多分

 ペン回しの構成は「始動のアクセント→中盤の見せ場→終わりの見せ場」の三つの見せ場を中心に!

 これがざっくりした”テンプレート”です。基本的にはEaseさんの「ペン回しの空間」の「良質なFSを組もう」の理論を基盤にして自分好みに改造したものです。

 始動にちょっと目を引くぐらいの何かを配置し、中盤で大きい動きをして、締めでも大き目の見せ場を作り、それぞれの間は今自分が好きな技で繋ぎます。個人的に撮影もやってて楽しいほうがいいので、短いスパンで魅せたい動きがバンバン入っていると「どうでもいい動き」をやる時間が減り、細かい所まで凝るようになる!…………気がします。

 このテンプレートには明確な問題点があります。FSが長くなりやすいことです。撮影環境を机に移してからは、アドリブじゃない時は割とずっとこのテンプレートをもとに撮っているのですが、ほとんどすべての動画が総時間18秒以上(おそらく演技時間はだいたい15秒以上)になっており、出演CVの大半で始動周りがカットされています。長ぇって!多分本当はテンプレートに従って組んだ後、繋ぎを削って圧縮する工程を挟むべきなんだと思います。(JapEn 19thの動画は実際に頂いたアドバイスを通してちょっと圧縮しました)

 あと自分の動画を見返してて気づきましたが割とテンプレ外れてることもありますね。大丈夫か?

 

 実勢にFSを作り始めるときは、まず締めと中盤に当たる2つの見せ場を用意し、その間を繋ぐ流れを作り、最近の好みに合わせて始動とアクセントを作り、その二つをどこかで接続する……という順序で作っています。そこから詰めるのはかなり行き当たりばったりで、初めに用意した技が差し変わったりすることも全然あります。本当に大丈夫??

 

1.1).始動のアクセント - やってて楽しけりゃいい

 第一の見せ場です。大概他の見せ場からは距離が離れているので後述する"伏線"を意識した技を放り込んだり、始動ゆえのカットされやすさを利用して成功率自体が低くて汚くなりがちな技をここに入れたりします。その性質上、他の二つの見せ場よりやや弱めです。

 正直なところ見せ場というよりは本当にアクセントで、この場所もただ自分が今気に入っている技をただ入れるだけが多いです。

 

1.2).中盤の見せ場 - これじゃ締めにはならんなぁ……せや!

 事前に用意した見せ場のうち、性質上締めにならなさそうな方をここに配置します。大きな動きでこそあるが勢いがあるわけではないものや、ノーマル回転に繋がらなさそうなものなど。(リバース方向の汎用的な締め技がマジでないのでこうなっています)

 

1.3).締めの見せ場 - オラァッ決まれ!決まらないこともある

 ノーマル系に繋がりそうなものや、反対にこの技の後に演技を続けるのは難しすぎるな……というような技に無理くりスクエアや122を付け足したものがここに来がちです。

 僕が用意する技はその後演技を続けるのか難しがちなのでまずここから決まることが多いです。あとあんまり高難度の技をここに入れると気が狂い、後々差し換えることになりがちです。

 

1.4).それ以外

 見せ場以外の部分は大抵アドリブで組み上げたりその時気に入っている流れで繋ぐことが多いですが、肩に力が入ったFSの時はここも用意した"準見せ場"みたいなもので埋まるときがあります。(JapEn 19thとかPSO'22 R1とかが典型的で、後から見返してどう見ても4,5個見せ場級の技が入っていてよくわかんなくなってます。こんな調子で構成の話して大丈夫????)

 

2).諸要素の付け足し - これもやるとよくなる気がするよなんとなく

 この辺は意識するとより良くなることで、自分でも大抵意識できてなかったりあるいは囚われすぎて迷走したりするゾーンです。この辺の意識したことが他の人に伝わったらすごいと思います。そこまで行ったらあなたはもう構成名人なので自分なりの構成のやり方記事書いてください。構成ってむずいのでいろいろ資料が数あったほうが助けになるから………

 

2.1).わりと取り入れるのが簡単なライン

 上記のテンプレートのほかに意識する部分で、割とこの辺もテンプレートと言って相違ないくらいだと思います。

 

・見せ場の技の連関

 見せ場の技の雰囲気を合わせることです。大抵は初めに技を用意するタイミングで考慮します。具体的には、締め技がマルチプル系なので始動のアクセントをマルチプルにする、中盤の見せ場がタイ式バックアラウンドなので締めも同じくフワッとする系統の技にする……などです。

 見せ場の技の連関がしっかりしていると、FS全体にテーマ性が出てきたりそのテーマ性を根底に他の部分も組みやすくなったりします。

 ただし、用意した技の系統に被りがない場合は取り入れるのが難しくなります。その場合は空いた三つ目の見せ場で補う形になります。

 重要な割に結構難しく、FSを組み始めた時の技のストックに大きく左右されます。

 

・指の使用率の平均化

 見せ場で親指周りを使いがちなら繋ぎ技は小指側を使う……って感じです。俺は見せ場の技が大体親指周りなので自然と繋ぎは毎度これを考慮して組むことになります。

 

2.2).意識しないとなかなか入れ込むのが難しいライン

 実際に僕が実行できているか怪しいラインの要素です。理屈としてあっているかも不安。itezaさんなど他のスピナーの方も使っている用語についての自己解釈辞書と言った方がいいかもしれないレベルの項目です。

 

・「伏線と対比」

 「伏線」は見せ場の技より前に、その技の要素を持つ技を事前に入れておくことです。ちょうど「締め技がマルチプル系なので始動のアクセントをマルチプルにする」などが該当します。

 「対比」は文字通り前後の流れや全体の雰囲気とは違う技を入れ込むことで印象的にする手法です。ただし組み合わせや入れ方如何によっては唐突さや脈絡のなさが悪目立ちすることになりがちです。

 個人的には、「対比」で強調したい技の要素を事前に入れておくことで技の雰囲気が浮きすぎることを予防することを特に「伏線」と呼んでいます。

 というか、この辺の話は僕が「週刊ペンスピニング (Vol.25)」でitezaさんやLakuさんに質問して得られた回答を自己解釈したような内容しか言ってないです。今見返したら割と違うかも。↓

【Vol.25】#週刊ペンスピニング | Weekly Pen Spinning News 【PSOR2,JapEn×keshikiコラボの話】 - YouTube

 (動画時間 8:20~あたりのお話。実はこれ聞いたの06杯出てない俺です。)

 

 関係無いんですけど、この週刊ペンスピニングって実はめちゃくちゃすごいことをしていたのでは……?週一回その週に遭ったいろいろな出来事を振り返って、そのための資料も用意して、振り返りだけでなく意見とか考察も混ぜて、おおよそ定時に生放送して、ここまでのことを1,2人でこなして……?????作業量????負担?????凄すぎませんか?????同じことをやるなら10人規模ぐらいでないと(それが本業ではない以上)立ち行かんのでは……やば……

 

・「畳み掛け」

  特に締め前あたりで、勢いに乗せて同じ或いは似た技を繰り返して印象付ける手法です。繰り返しで動きを印象付けたあとそこから転換して裏切るもよし、そのままの勢いで駆け抜けるように締めてもよし。

 盛り込むことができれば便利な手法ですが、「唐突な繰り返しそのものの不自然さ」「繰り返しそのものが気持ちいいかどうか」で威力が変わります。

 「畳み掛けからそのまま駆け抜ける」FSはJapEn 19thのa_l_pさんのFSが、「畳み掛けから裏切って締める」FSはDrowsyさんのWT'19 R1のFSがわかりやすいと思います。私の主観での話なので実際の意図とは異なっている可能性があります。

youtu.be

youtu.be

 

 

テンプレートで構成を組もう!実例編

 実際にこの構成法にほんのり則って組んだ自分のFSを分解して振り返ってみます。ぶっちゃけ多分あんまり則ってないと思う。

 組んだ時の意図を思い出しながら振り返るので実際に見て受ける印象と結構違うと思います。ダメでは?

 ど、どうなる!?!?全然だめなのがバレるだけの可能性もあるねぇ!?!?!

 

Spinfest 2023に寄稿したFS

youtu.be

 

・見せ場は?

 初動アクセント:ノーマル→23受け→ウインドミル

 中盤の見せ場 :hai tuaもどき2,5止め→切り返し→タップ連

 締め見せ場  :2-起バクリバ→親指ストップ

 

 そもそも組み始めの動機が親指ストップを使いたかったからだったと思います。中盤と初動はその時ハマっていた動きです。初動の動きなんも関係ねぇし初動と中盤の見せ場が近すぎる。

 

・その他の要素は?

 「技同士の連関」:締め技と中見せ場が共通項「停止→切り返し」を持っている

 「畳み掛け」  :締め前に連続親指周りパスをしている。(浮いてないか?)

 「伏線と対比」 :締め前の連続親指パス(速い動き、水平軌道)と

          2-起きバクリバ(鉛直軌道)→親指ストップ(停止)の対比。

         :親指ストップには中見せ場hai tuaもどき2,5止めの停止と

          連関を持たせている。

 

 全体的に「ホンマか?」って感じですね。後ろ二つは後付けかも。技同士の連関のところは一応意識したんですが弱め。畳みかけと伏線/対比についてはホンマに成立しているのか?わかんないですね。どうですか?

 

・俯瞰

 総じて好き勝手やってるうちにテンプレートから足踏み外したFSな気がしてきました。うーんこれでは締まらんぞ。

 

JapEn 19thに寄稿したFS

youtu.be

 ※この動画のオーダーにはアドバイスをもとにした改定が入っています。

 

・見せ場は?

 初動アクセント:2軸鉤スピン(鉤状に曲げた2軸の上でのマルチプル)

 中盤の見せ場 :①45-握りこみ→ミラードクーロンもどき45-12(6秒)

         ②3-連続タップ→2-レックス>>ミラードクーロン2-23(11秒)

 締め見せ場  :サイドスピン→ウインドミル→hai tua

 

 ダメだこれ。中見せ場が二つになっちゃった。

 意図としてはまずサイドスピンで締めるのとそこに至る見せ場として中見せ場②を考えつき、その後「締めまでにだんだん切り返しの感覚が縮まっていくやつにしよう」と考え、切り返しが入っていた当時マイブームの5-シメバク(8秒)~中見せ場②前のなんかをつけて、サイドスピンだけだと弱いと思ったのでhai tuaをつけて後半が完成し、前半部分を考えているときにマイブームだった初動の鉤スピンが入り、そこからつなげていったときにつよい技として中見せ場①が生まれ、これ②と近い印象で纏まってんじゃん!とか言って両者を接続してこうなりました。行き当たりばったりだなぁ(初稿では4秒当たりのネオバク23-34→4-ガンマンの間にさらに2回切り返しがありました)

 

 余談ですが、ミラードクーロンもどき(特にレックスからつなげる方)は腕の動きがまだ大きかった撮影開始初期では、1,2時間撮影すると翌1週間ダメ―ジを引きずるくらい肩にダメージが入っていました。最後の1週間で腕の動きを小さく改善したらダメージがかなり減ったのでそういう意味でも腕遣いって大事。腕ごと暴れるようなヤバ技をやる奇怪スタイラーこそ腕の使い方を知るべき。からだはだいじ。

 

・その他の要素は?

 「技同士の連関」:・締めのサイドスピン(マルチプル)<ー>初動鉤スピン(マルチプル)

          ・中見せ場①(ミラードクーロンもどき)<->

           中見せ場②(ミラードクーロンもどき)

 「畳み掛け」  :締め前の連続タップ前後でいっぱい切り返しをしている……?

 「伏線と対比」 :締め前の連続タップ(速い動き、短スパン切り返し)と

          サイドスピン(マルチプル)の対比。

         :サイドスピンには初動鉤スピンのマルチプルと

          連関を持たせている。

 

 これも怪しいですね。さっき言った「締めまでにだんだん切り返しの感覚が縮まっていく」はそこまで実践できてない気がしたので省きました。

 一応初動と締めのマルチプルの連関は重視していて、実は一次提出の時は難しすぎて初動の鉤スピンを省いていたのですが、オーダーの相談をするときに「この初動のマルチプルは入れた方がええよな……」と思って相談して入れることにしました。お気に入りなので入れて良かったねぇ

 

・俯瞰

 こちらは詰め込みすぎてテンプレートを改変することになっていますね。まともにテンプレートに則って撮ったFS無いんか?自信作ほどテンプレから外れるんですよね……

 あるいは「繋ぎを凝る」代わりに「見せ場級のデカい技を過剰に詰め込む」ことで高密度感を演出しているのかもしれません。

 

 この他にもPSO'22 R1の動画も例に挙げようかと思ったのですが、これは組み始めの時から「今までの持てる全部の切り返しを乗せる」をコンセプトに詰め込みまくったFSなのでテンプレートに当てはめられる気がしませんでした。俺って本当にこのテンプレートに従ってFS組んでたんですか?

 

総括

 わからん。俺は雰囲気でペン回しをやっている………

 いいように言えば、テンプレートはひとまず仮組みするための素体で、縛られる必要はなくいくらでも踏み荒らしていいし、ガタガタになったとしても最低限FSのテイは守られる枠組みになりえるのではないでしょうか。ほんまか?

 

 補足ですが、この組み方は技の火力を中心にFSを組み立てるやり方なので特にVP系などの完成度の底の高さなどを武器にするスタイルには当てはまらないかもしれません。この記事自体メソッドの一例の紹介でしかないので「なんかこの組み方合わないな」と思ったときは他のいろいろを参考にして下さい。具体的な他に参考になる記事は……あんまり知りません。DrowsyさんのブログやBeigeさんのブログは参考になるかもしれません。

 

 みんなも構成を組もう!それでは。